【ASMR】ワンルームセックスライフ（秋野かえで / 浅木式）

試聴を聞いて衝動買いしました。

トラック1の試聴を聞いたときに感じた空気感を信じて正解でした。
日常系作品であっても作品から"作った日常"とでも言うべき
微妙な違和感を感じて身構えてしまうことが多いのですが、
この作品の日常感はそれが無く、すごく自然に感じました。
狭い部屋でも3人居たら1人は邪魔にならないところで好きにしてたり、
いつものことに説明は不要といわんばかりに自然な日常会話、
必要以上に喘がないのも普段通りという雰囲気で
夢に出るような理想の日常そのものです。
これも作り物の日常ではありますが
音声にも不気味の谷のようなものがあったということかもしれません。

テグラユウキさんの名作「サマーフォーリー」と同じくフォーリーサウンドにこだわった作品で、しかもCVも浅木式さんと秋野かえでさんが再びタッグを組む、ときたら、期待値のハードルは高くなるわけですが、それを軽やかに跳び越える傑作でした。
いつまでもこのままではいられないことはわかっていて、だからこそ濃密な今が輝いている、そんな青春の煌めきを掬い取った叙情的な作品で、R18だからもちろん抜けるんですが、仮に抜けなくても聴く価値があると思います。

昔からだらだらと肉体関係を持ち続けてきた妹と、彼女と3人でワンルームで同居して、自堕落な生活を送っている主人公。とても狭い部屋なので、エッチで姿勢を動かすだけでいろんなものにぶつかる音がするし、1人とセックスしてる間に、もう1人が咳をしたり、漫画を読んだりしている音も聴こえる。とにかくふたりの生活感、存在感が凄くて、微妙な距離もきっちりわかります。
妹と彼女と3人で大っぴらにエッチしまくるという爛れた関係ですが、それゆえにどこか壊れ物めいたバランスを感じ、僕は序盤2つ目のトラックで、女子ふたりがだらだらと他愛ない会話をしているのを聴きながら「とても楽しいけど、こんな暮らしはいつまでも続けられないよな」と早くもしんみりしてしまったほどです。この作品の脚本、音、演技が、すべて徹底的にリアルだからでしょうね。

序盤から中盤は3人でテンションも高くエッチ三昧。それに対して終盤は、彼女とふたりきり、妹とふたりきり、の夜のパートにたっぷり時間が割かれています。ここではあえて多くは語りませんが、いつもは小生意気なことばかり言っているのに、主人公との距離をめぐって揺れるふたりの切ない女心がにじみ出ていて、とっても心が揺さぶられました。良質の小説や映画に接した後のような感触が残る、稀有な作品だと思います。